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No.53
「世界を変えるには、私たちの意識のあり方を変えていくところから」
平成20年6月13日

 みなさん、こんにちは。春名芙蓉です。
 私は、「人生の中で起こることに何一つ無駄なものはない」と思っています。言葉を変えれば、「どんな出来事の中にも、自然が私たちに教えようとしてくれる貴重なものがある」と思っているんですね。ただ、そこに気づくか、気づかないかは、その人自身の問題です。

 私はありがたいことに、若い頃から、自分の心を見つめて反省するという心の習慣を身につけていただいてきました。今思えば、「自然がそのように仕向けてくれていたんだなあ」と思います。怖がりで、人とおしゃべりするのも苦手で、内向的だったから、よけいに自分を見つめることができた。体が弱くて、いつまでの命かわからないような私だったから、よけいにそういう自然の声を心で聞くことができた。そんな仕組みにして、私の精神を育てていただいてきたと思います。

 たとえば、自分の間違いだとわかっているのに、それを認めたくないために人や事情のせいにしたくなることが、誰にでもありますね。私は、自分をかばうために言い訳をしようとする自分の心を、手に取るように見ることができました。自分をかばおうとするだけでなく、かばうために他に責任をもっていきたい自分を恥ずかしいと思い、そんな自分が醜いと思えました。
 自分が悪く言われたときには苦しく感じますが、私は、「なぜそんなことで苦しんでいるんだろう」と、苦しむ自分を冷静に見つめることができました。「良く言われたら喜び、悪く言われたら苦しむ」というのは当たり前のことでしょうが、「なぜそうなるんだろう」と自問自答したときに、「自分がかわいくて、良く言ってほしいという願いがある」、そして「自我があるから、悪く言われたら苦しむんだ」ということに気がついたんです。

 若い頃からそんな「自我」を見つめて生きてきましたから、何か苦しいことがあっても、人のせいにしないで、自分にもってくることができたんですね。「私の心のあり方がどこかで間違っているから、自然が苦しみを与えて教えてくれようとしているんだ」と思えたのが、今思えばどれほどありがたいことだったか知れません。人のせい、事情のせいにしていたら、決して自分は成長できませんから。

 この歳になってなおさら、「自分を守ろう」という気持ちが間違っていることがよくわかります。「自分がかわいい」、「自分を守りたい」という意識が執着を生み、その執着のために苦しみが生じ、その苦しみがさらに大きな「自我への執着」を生み出しているんだということがよくわかるようになりました。
 人間が、人の欠点はよく見えるのに自分の欠点は見えにくいというのも、自我のためですね。「自我があるから生きていられる」と言う方もあるでしょうが、「自我のために、自分自身を滅ぼしてしまう」ということのほうがずっと大きいのではないでしょうか。

 大自然が私たちを生かそうとしてくれることに気づかないで、自分ひとりで生きているように錯覚して、「自分自身で自分を守ろう」とするところに間違いがあるのではないでしょうか。
 体一つ取ってみても、目や耳、心臓や肺などの機能があるからこそ生きておれるんですね。そして、家族や友人、仕事や社会の仕組みも、自分ひとりで作り上げたものは、何一つありませんね。私たちが生きている土台となる「地球」という星の、水や空気、さまざまな環境も、私たちの生まれる何億年も前から作り上げていただいたものです。
 そのうえに、ほとんどの方は気づいておられないかもしれませんが、私たちの「意識」というものも、一人一人平等に与えていただいている宝物です。「意識」がなかったら、自然を観じることも、感謝をすることもできないで、まるで機械と同じですからね。
 そのように、私たちは、「全て自然から与えていただいている」ということを知り、大きな見地から、自分の人生だけでなく、世界のありさまを見つめ直すことが必要ではないでしょうか。

 今の地球は、さまざまな人たちが自分の欲望を中心に置いて、お互いに自我をぶつけ合い、憎しみあっている面がどれほど多いか知れません。
 私たちは、そういう世界のはるか上を宇宙遊泳するように、大きく自由自在に意識を羽ばたかせ、そして平和になれるような意識を広げることができれば、どんなにいい世界に変わるだろうと思います。
 地球という星の環境が危ぶまれていますが、それ以上に、そこに住む私たち人間の意識の問題のほうが大きいと思います。世界を変えるには、私たち一人一人が自我を消して、意識のあり方を変えていくことから始めないといけないのではないでしょうか。


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